「……いらない」

彼を拒絶する様に、フイッと首を横に背ける。

「ええぇ!?二つ買っちゃったのに!?俺、お腹弱いから、こんなに食えねェんだけど。あ~あ、勿体ないけど……捨てるか」

そう言って彼がため息を吐き、チョコチップアイスをゴミ箱に捨てようとする。

「もったいない」

僕のその言葉に彼はチョコチップアイスを捨てる手を止めると、僕に振り向きニッコリと笑った。

「じゃ、お前が食えよ」

彼の手から投げられたアイスを上手くキャッチすると、手の平がヒンヤリと冷たくなった。

彼がベンチに座るのにつられて、同じようにベンチに腰掛ける。