優しいし、カッコいいし、頭がいい。
なんて言ったら女の子には王子様にしか見えないのかもしれないけれど。
それでもこの先輩が微妙に残念なのはたしかで。
だから。
先輩が起きないからって帰った教室で、取り巻きの先輩達に呼び出しをされるのは納得いかないなと思った。
「ちょっと屋上、来てくれる?」
にっこりと気持ち悪いくらいの作り笑いを浮かべて、ちょっとケバめな先輩が言う。
心配そうにクラスの子は、十人くらいの先輩に連れて行かれるあたしをみつめていた。
いつかはこうなるんじゃないかと、容易に予想していたあたしは、黙ってついていくしかなかったけど。
わかってたのにあの屋上に通ってたのはあたし。
しょうがないかなと思い直した。