サラサラと、ちょっとワックスで立たせた髪が揺れる。

ミルクティー色が空に映えて、少しだけ綺麗だった。


…危ない、危ない。

強引で変人なこの先輩を、今一瞬カッコいいと思ってしまったなんて。

疲れてるのかな。


そう考えたとき、ちょうどチャイムの音が聞こえる。

「明日も来てね」

「嫌です」

不満そうな声を後ろに浴びながら、スタスタと屋上から出ていった。


今度こそ先輩のファンに見つかるかもしれないのに。



だけど、教室に帰って勉強していても。

真っ青な空に映える綺麗なミルクティー色が、どうも頭に残った。


佑耶君のことよりも九条先輩の方が印象深すぎたのかな。

なんて考えて、そうだと頷く。

相手は学園の王子様。


だけど、明日もあのミルクティー色を見たいかもしれない、と思った。