「でさー、俺はね、漫画って授業が必要だと思うんだよ」

「…はあ」

そして何がしたいのかと思えばホントに話し相手がほしいだけなのか。

なんの脈絡もない話を勝手に始める。


頭がいい人って、変な人が多いのかな。
それともこの人だけが特別変なんだろうか。

とにかく意図が掴めない。
だけど企んでるようにも見えないから、
まあ普通に話を聞いていた。


「灰音ちゃん、聞いてるー?漫画はすでに日本の誇る文化でしょ!」

「ああ、はい。そうですねー」

「うわ、気持ち込もってない!漫画を侮辱してるのか、俺を侮辱してるのかどっち?」

……、侮辱してるつもりないし。

なんか妙に変わった先輩だから、全国の頭いい人がこれだと思ってたら失礼かもしれない。

うん、この人が特別変なんだ、やっぱり。

そう自己完結して、また上の空で先輩の話を聞く。

「面白い漫画ばっかりなんだよねー。アレ読んでると、人生そのものが楽しくなる」

先輩は、キラキラと目を輝かせて空を見上げていた。