「──…灰音ちゃん、結構天然?」

「はい?」

しばらく立ってから、呆れたような顔をして先輩が言った。

「あれは上手に流すべきところでしょー。真面目に答えるのもダメだし、無視するのもダメ」


やれやれ、と大げさに肩をすくめてみせながら、溜息を零される。


……つまり先輩は。
あたしの躱し方に呆れてるわけね。

「しょうがないじゃないですか。慣れてないんです!」

「慣れてなくてもできますぅー」

先輩はわかんないんだよ!

先輩は頭がよくて機転が利く。
あたしはそんなことできないんだから。



……というかそもそも。

「先輩の所為でこんなことになったんじゃないですか」

じとっと睨みつけながらそう言葉を向けると、ピクリと先輩が反応した。


ゆっくりこちらに振り返ってから、

「だからちゃんと助けたでしょー」

なんてちょっと目線を逸らしながらも口調は開き直っている。