ゆっくりと起き上がり、着物を羽織り帯を結ぶ。

すると床に置かれたままの彼の刀の横に……この部屋を閉ざす鍵が置いてあった。

真鍮の鍵が窓から差し込む月明かりで妖しく光る。

……今なら、逃げられるかもしれない。

静かに寝息を立てて眠る彼を横目に……そっと鍵に手を伸ばした。

ヒヤッとした感触に思わず手を引くが、少し考えた末それを手にした。