「……なァ朧。……お前はどこにも行かねェよなァ?この俺から離れたりしねェよなァ?」
男の歪んだ黒い瞳が私を捉え、言い表せない感情が私を支配する。
……それは恐怖であり、愛でもあり、そして……深い憎悪でもある。
十四の時、孤児だった私はこの男に拾われた。
この部屋に入れられ……この男のモノになってもう六年。
……残酷で非情な男。
初めは憎しみ以外の感情を持ち得なかったこの男を……愛していると知ったのはいつだったろうか。
彼の痛みを……弱さを知った時からだろうか。
…… いや、そんな昔の事など忘れてしまった。
この男の垣間見せる憂いを帯びた瞳が……耳元で囁く甘い声が……私を狂わせていく。