仕事が終わり、帰る支度をしていたら恵美ちゃんが来た。
「お疲れ様。はい、どうぞ」
手渡されたのはカードと1枚のメモ。征一さんのマンションのカードキーと、エントランスの暗証番号が書かれたメモだ。
私はそれを、慎重にバッグに仕舞った。失くしたら大変だからね。
「恵美ちゃん、ありがとう。帰ろうか?」
「え? あ、帰りましょう」
恵美ちゃんの様子がちょっとおかしい。考え事をしてたみたい。
『お先に失礼します』と挨拶をして、職場を後にした。
「裕子の斜め前に座ってた男の子が、例の水野君?」
「うん、そうだよ」
「ふ〜ん」
また考え込んでる。
「水野君がどうかしたの?」
「ううん、なんでもない。
それよりも裕子、今夜はどうするの?」
「えっとね、いったん家に帰って着替えを持って、征一さんのマンションに行くでしょ。で、部屋に入れたら荷物を置いて、買い物に行くの」
「買い物?」
「ご飯作ろうと思って…。うふふ」
「なるほど、いい作戦ね。献立は?」
「作戦って…。献立はね、お刺身と肉じゃがとお新香とお味噌汁。疲れた時はシンプルな和食がいいかなと思って」
「いいんじゃない? 失敗しなさそうだし」
「えへ、ばれたか。お料理、勉強しないといけないよね?」
「私も同じだよ。いや、もっとダメだわ。肉じゃがも無理だし…」
駅で恵美ちゃんとさよならする。恵美ちゃんもいったん帰り、進藤さんの家に行くらしい。
「バイバイ、恵美ちゃん。また来週ね!」
「バイバイ。三度目の正直、がんばってね!」
「うん、恵美ちゃんもね」
『三度目』って?
ああ、そういう事か。ドキドキするなあ…
「お疲れ様。はい、どうぞ」
手渡されたのはカードと1枚のメモ。征一さんのマンションのカードキーと、エントランスの暗証番号が書かれたメモだ。
私はそれを、慎重にバッグに仕舞った。失くしたら大変だからね。
「恵美ちゃん、ありがとう。帰ろうか?」
「え? あ、帰りましょう」
恵美ちゃんの様子がちょっとおかしい。考え事をしてたみたい。
『お先に失礼します』と挨拶をして、職場を後にした。
「裕子の斜め前に座ってた男の子が、例の水野君?」
「うん、そうだよ」
「ふ〜ん」
また考え込んでる。
「水野君がどうかしたの?」
「ううん、なんでもない。
それよりも裕子、今夜はどうするの?」
「えっとね、いったん家に帰って着替えを持って、征一さんのマンションに行くでしょ。で、部屋に入れたら荷物を置いて、買い物に行くの」
「買い物?」
「ご飯作ろうと思って…。うふふ」
「なるほど、いい作戦ね。献立は?」
「作戦って…。献立はね、お刺身と肉じゃがとお新香とお味噌汁。疲れた時はシンプルな和食がいいかなと思って」
「いいんじゃない? 失敗しなさそうだし」
「えへ、ばれたか。お料理、勉強しないといけないよね?」
「私も同じだよ。いや、もっとダメだわ。肉じゃがも無理だし…」
駅で恵美ちゃんとさよならする。恵美ちゃんもいったん帰り、進藤さんの家に行くらしい。
「バイバイ、恵美ちゃん。また来週ね!」
「バイバイ。三度目の正直、がんばってね!」
「うん、恵美ちゃんもね」
『三度目』って?
ああ、そういう事か。ドキドキするなあ…