「うわ、まずい…」

「そりゃそうでしょ、そんだけ延びちゃったら。食べてからメールすればいいのに」

「だって、待ち切れなかったんだもん」

「あー、美味しかった」

と言って恵美ちゃんは箸を置いた。
私もそっちにすればよかったな。ご飯は延びないから。

「それにしても、神崎さんが財閥の御曹子とは驚いたよね…」

「だね?」

「神崎家はこの会社の筆頭株主だそうだから、神崎さんは室長どころか、社長になるかもね」

「すごいよね?」

「裕子は社長夫人かあ…」

「ぶっ」

ラーメンを吹いちゃった。

「何やってんのよ、汚いなあ」

「だって恵美ちゃんが突然、変なこと言うから…」

「変じゃないよ。それ、食べるの止めれば?」

「うん、悪いけどそうする」

私も箸を置いた。