あたしは空人のどれだけのことを知っているのかな。



年齢は?仕事は?



どんな所に住んでいるのかだって、



今日ここに来るまで何も知らずにいたのだから。



玄関に入ると、足元は大理石で出来た床。



そして、シンプルだけど高級そうな雑貨や家具がセンスよくまとまった部屋。



リビングには大きなソファーがあって、



机の上にはパソコンと難しそうな仕事の本がいくつも重なっていた。



『今、お茶入れるから…ここに座ってて』



手慣れた様子であたしをソファーに座らせ、キッチンへと向かう空人。



あたしは小さく頷き、ソファーに座った。