いつだって明るくて、優しい隆司に、



あんな表情をさせてしまったのは、



紛れもなく「あたし」だ。



隆司に甘え、それを利用していたと言われても否定出来ない。



『あいつ…相当、月美のこと好きだな…』



空人はハンドルを切りながら、そう言った。



隆司がいくら大声を出しても、



あたしがどれだけ動揺して慌てても、



空人は最初から最後まで落ち着いていた。



『あたし…最低なことしちゃった…』



あたしが力無く、ポツリとつぶやいても、



空人は表情ひとつ変えることなく、あたしの頭の上をポンポンと叩き、



『気にすんな…月美は自分の気持ちに正直に行動したんだろう?それでいいんだ…』



と言いながら、アクセルを踏み、車を加速させていった。