『やべぇ…俺、マジで余裕ねぇな…。ゴメンな。告るだけのつもりだったのにさ』



照れた口調でそう言う隆司の言葉と、廊下の方から聞こえる誰かの足音が重なった。



と、同時にあたしと隆司は、さっと離れ距離を作った。



そして、恥ずかしそうにしながら、一回深呼吸をした隆司は、



『月美の気持ちが決まるまで、はっきりさせなくてもいいから。今の男と別れるまでは、俺は「仮の彼氏」でいい!!とにかく、月美は俺の彼女ってことでいいかな?』



と、あたしの前に手を差し出した。



『握手してくれたら、交渉成立な!』



ニコっと微笑む、隆司の笑顔。



………どうしよう……



今……決めなきゃ……決めなきゃ………



まだキスの余韻も残り、落ち着かず、動揺しているあたし。



『駄目なら男らしく、きっぱりと諦めっから!月美、決めて!』



と、手を差し出し続ける隆司。