窓から入ってくる風は、



教室のカーテンを何度も大きく揺らし、



そのたびに隆司の茶色の髪もサラサラとなびいていた。



男の子のわりに、少し長めのその髪に、



気がつくと、あたしの手は自然に伸びていた。



『……』



頬を赤く染め、少し驚いた顔の隆司。



自分でも自分がよく分からなかった。



あたしは大好きな空人ではなく、



今、この目の前にいる隆司に、



どうしても……触れたかった。



触れて、触れられたかったから。



どうして?何故?



自分の心の中に問い掛けたとしても、



きっと分かるのはそれだけ。