空人の手があたしの髪を何度となく触る。



唇が離れると、今度はあたしの髪に顔を埋めた空人。



『月美の髪の香り…好き…』



あたしも空人の柔らかな髪を撫でる。



このまま時間が進まなければいいのに……。



『やべっ…行かなきゃいけねぇや…』



時計を見て慌てる空人なんか、本当は見たくない。



『じゃあ、またね…。送ってくれてありがとう』



このセリフを言って、空人の車を出る時があたしは1番嫌いなんだ。