『高校は行きたいとも思うけどさ、兄貴が学校辞めんのに俺だけ高校行っていいのか…とも思う…』



隆治君の本音。こんな複雑な気持ちも無理もない。



頑張って働いてる隆司の姿を見れば尚さら、そう思えるのだと思う。



『学校を辞める以外にも隆司には選択肢があるはずだから…』



通信の学校や、定時制の学校だってある。



隆司だって、これから先のことを考えているはずだから。



隆治君は眠そうな目で、微笑むような表情を浮かべた。



『あんたに色々話せてよかったよ…気をつけて帰れよ』



隆治君はそう言って、あたしに手を振った。



朝待ち合わせた駅の前で、あたしも手を振り、隆治君にバイバイをした。