『兄貴はすげぇよ…』



突然隆治君がポツリとつぶやいた。



『……俺、兄貴がいるから俺も頑張ろうと思うっつぅか…。上手く言えねぇけど、俺にとって、兄貴は特別なんだよ…。兄貴のためにも母ちゃんを守ってくのは俺だと思うしさ…』



考えてみたら、隆司のお母さんの再婚によって、隆治君と隆司は兄弟になったんだから、



隆司が家を出た今、隆治君は血の繋がりのない母親である、隆司のお母さんと2人で暮らしていることになる。



『隆司も隆治君がいてくれるから、頑張れるんじゃない?』



『どうかな?…けど………そうだといいけどな』



隆治君にとって、隆司は本当の兄弟以上の存在なんだ。



『きっとそうだよ…』



あたし達は波音を聞きながら、ゆっくりと海を後にした。