『いらっしゃいませ～！ご利用いかがですか～？』



威勢のいい呼び込みの声に視線を向けると、



そこには店員さんらしき、日焼けした真っ黒な男の子が何人かいて、


『あの～、すいません。澤田隆司いますか？俺、弟です』



そのうちの一人に隆治君が声をかけてみた。



『えっと、たっちゃんのことかな？ちょっと待ってて！今、ビーチでお客さんのパラソル立ててっから、もう少ししたら、こっちに戻ってくると思うよ』



金髪に派手なＴシャツを着ている店員さんが笑顔でニッコリと答えてくれた。



見た目は明らかに怖そうなのに、声は優しくて、その笑顔は眩しいほどの完璧な営業スマイル。



隆司は、どうやらここでは「たっちゃん」と呼ばれてるんだ。



『あ、ほらっ、戻ってきたよ。たっちゃん～！お客さんだよ～』



さっきの店員さんが遠くのほうから歩いてくる人影に、大きく手を振った。