海岸沿いに何軒か続く海の家。



まだ午前中だけど、夏休み中だからか、もう海水浴を楽しむ人の姿も見えた。



『隆司、海の家で働いてるの?』



隆治君が指差した方向にあるのは、平屋造りの海の家だった。



『そうだよ。さっきメールしといたから、もう待ってんじゃね?』



ビーサンを履いている隆治君はいいけど、



あたしはヒールのあるパンプスを履いていた。



『行き先が海って知ってたら、あたしもサンダルにしたのに…』



砂浜に着き、一歩一歩とゆっくり歩くあたしを見て、



『鈍臭い女だなぁ…』



と、呆れ顔でつぶやく隆治君。



くたくたになりながら、やっとのことで、隆司の働く海の家に到着した。