電車を乗り換えてから、いくつもの駅を越えていった。



『おいっ!降りるぞ』



隣に座っていた隆治君の声。


『……?えっ…あ…はいっ』



どうやら寝ちゃったことに気づいたあたし。



『お前…爆睡しすぎだろ?すげぇよだれ出てたぜ』



先を歩く隆治君が後ろを振り向き、ニヤっと笑って言った。



『えっっ!嘘っ…』



ハンカチを取り出して、慌てて拭くあたしを見て、



『アホっ!冗談だよ!行くぞ』



そう言って、あたしのおでこにデコピンをした隆治君。



『ったく、兄貴はこんな女に惚れてんのかよぉ』



『こんな女で悪かったですね…。こんな男に惚れてる結菜だって趣味悪い~!』



いつの間にか、隆治君はあたしに自然な表情を見せていた。



『こっからバスに乗るから』