「もういい
 もう、何も話すな
 
 今すぐ、病院へ
 連れて行ってやる

 だから死ぬな」

浬の瞳から流れ落ちる涙。

「親父
 泣かないで、ください
 俺は死にぞこない
 十分、生きた
 
 最後ぐらい、かっこよく
 仲間の元
 逝かせて、ください」

静かに微笑んで瞳を閉じる、凌

「リョウ
 
 リョウ・・・」

浬の、悲痛な叫び声・・・

弦の目にも、塁の目にも
涙が溢れる。

生涯、組だけを愛しぬいた
男の死に、涙が止まらない。

「・・・ルイ」

浬は、塁の姿を探す。

「カイリ、大丈夫だ
 遣られたのは、足だけだ」

足を引き摺ってはいるが
その場に立っている、塁の姿に
ほっとした、浬。