振り返ると真鈴がいた。優しい笑みで、僕を迎えてくれる。全身を見たところ、どこにも怪我はしてなさそうだ。良かった。良かった。
「真鈴」
僕は彼女の名前を呼んでみる。なんだか、もう随分と会ってなかったように感じた。実際には数時間離れただけなのだけれど。
真鈴は僕の胸へと飛び込んで来た。小さな、弱々しい体が僕の腕の中でもっと小さくなる。
「祐希くん…無事で良かった」
「うん、真鈴も」
静かな遊園地に、僕たちの声だけが響いた。もう夜は、すぐそこまで忍び寄って来ていた。