「大丈夫?」
真鈴は僕が戻ってくると、すぐに小走りに来た道を戻り始めたけれど、振り向きながらそう言葉を掛けてくれた。
大丈夫なんかじゃない。自分の部屋にも、奏の家にも寄らずに真鈴の元へ帰って来た。とりあえず今は、安心できる場所にいたいだけなんだ。僕が大丈夫じゃないことなんて、真鈴だって判ってるはずだ。だけどそれ以外の言葉なんて見付からないんだろう。
父が死に、それを苦にして母と幼なじみが死んだ。いや、もしかしたら奏には他の理由があるのかもしれないけれど……いずれにしろ、辛い結末を迎えていることだけは判る。ただ、感じる。そんな状況に置かれた人間に、掛けるべき言葉なんて見当たらないものだ。
真鈴は僕が戻ってくると、すぐに小走りに来た道を戻り始めたけれど、振り向きながらそう言葉を掛けてくれた。
大丈夫なんかじゃない。自分の部屋にも、奏の家にも寄らずに真鈴の元へ帰って来た。とりあえず今は、安心できる場所にいたいだけなんだ。僕が大丈夫じゃないことなんて、真鈴だって判ってるはずだ。だけどそれ以外の言葉なんて見付からないんだろう。
父が死に、それを苦にして母と幼なじみが死んだ。いや、もしかしたら奏には他の理由があるのかもしれないけれど……いずれにしろ、辛い結末を迎えていることだけは判る。ただ、感じる。そんな状況に置かれた人間に、掛けるべき言葉なんて見当たらないものだ。