「だけど、そんな避けられない運命を忘れられたら? ううん、忘れるだけじゃなく、楽しい思い出に替えられたら? 凄いことじゃない?」
真鈴は平然と、僕に問い掛けてくる。そんなこと、出来るわけないじゃないか。タイムマシーンよりは……可能性がありそうな話だけれど、それでもやっぱり無理だ。
「それは凄いよ。そうしたら人々は傷を持たなくなるし、明るい世の中になるんじゃないかな? でも……やっぱりそれも無理だよ」
「それがあなたの能力」
「えっ?」
「祐希くんが、そのうち身につけることになる能力よ」
僕が……記憶を操るようになるっていうのか?