「具体的にそれは、どんな能力なんだろう?」
僕は聞いてみた。空を飛べる、とか。ビームを出せる、とか。そんな能力がいつか備わるんなら僕は本当にすごいじゃないか。追われるということにも納得できる。でも、なんで貴田先生なんだろう。
「そうね……」
真鈴が大きく息をつく。そして目を閉じる。そうして沈黙のまま、5分は時間が流れた。もうコーラの中の氷は溶けてしまっている。もう珈琲は当然冷めているだろう。
「祐希くん」
もしかしたら疲れて、眠ってしまったのかもしれないと思い始めた矢先、真鈴が目を開いて言った。
「避けられない運命って、あるのよ」