「まりん」
「えっ?」
まりん……何か聞き覚えがあるような……。すると彼女は、僕のコーラの下に敷かれてあるコースターを手に取り、その裏側に何かを書いていた。
「まりん」
真鈴。そこにはそう書かれていた。信じる鈴。まりん。真鈴。
「思い出した?」
うん、と言いたいところだけど、実際には何にも思い出せやしなかった。僕はもう一度コーラを飲む。ごくり。
「ごめん……」
「やっぱり駄目?」
僕は頷く。すごくもどかしい。真鈴は古い木製のアンティークをしばらく眺めてから言った。
「じゃあ教えてあげる」
また魔性的な笑み。僕は息を呑んだ。
「私たちは恋人なの」