「ありゃりゃ、ちびっこかい」
おじいさんだった。腰が曲がり、小さく小さくなったおじいさん。顔はシワだらけで、目は細まりすぎてあるのかどうかすら判らない。頭にはほとんど毛がないが、そのかわりに真っ白な髭はすごく立派に、ふさふさと生えている。
「ちびっこじゃありません」
彼女が、怒るようにおじいさんに言う。まぁ、僕らは一応中学生だし、つい最近までは小学生だった。ちびっこって言われても仕方ないのかも。
「ありゃあ、こりゃすまんのう。何か飲むかね?」
「珈琲。ブラックで」
彼女はまだ怒りを引きずったまま、即答した。よくそんなの飲めるなぁ。
「ぼ、僕はコーラで」
そう言うと、おじいさんは何度も頷きながら奥へと下がっていった。