城川病院へは10分ほどで着いた。その頃にはもう夜になっていた。
いつもなら学校から真っ直ぐ帰るはずの僕が、今日はそうしなかった。いや、出来なかった……? とにかく、家に電話しても出ない僕に焦り、母は隣の奏の家にも電話をした。ここにやって来るまでに、そのことに気付いた。
だけど相変わらず、頭の中はパニックだった。なんで父さんが? 重体?
僕らは息を切らしながら受付で名前を言い、父さんの居場所を教えてもらった。
長い病院の廊下にもどかしさを感じ、だけど同時にたどり着くことへの恐怖も感じていた。
そして……僕らが看護婦さんに連れていかれた場所は、治療室や病室ではなかった。