「何? いきなりどうしたのよ?」
彼女は呆気にとられていた。
「何にも話さないと思ってたらいきなり叫ぶなんて。ユウキくん、今日ちょっとおかしいよ?」
ユウキ?
……?
あぁ、僕のことか。谷口祐希。あぁ、そうだった。祐希。
「君は……まりんちゃん?」
僕は恐る恐る名前を言ってみた。それくらいしか思い付かなかった。何かが僕の記憶を突いている。そんな感じがする。
「まりん? 祐希くん、それ本気で言ってるの?」
僕は目を閉じ、記憶の他の部分のことを考えた。だけどそこへは辿り着けなかった。