「行くって、愛を取り戻しに?」
「はい、その通りです。いつまでも、こんなところでぐずぐずしていたって意味がありません。目的がはっきりとした今、すぐにでも出発するべきなのです」
僕は妻を見た。顔を上げ、目が合うとはっきり強く頷いてみせた。
愛を取り戻す。どこへ行き何をするのか、取り戻したところでどうするのか、謎はまだたくさんあった。だけどぐずぐずしていられないような予感を強く感じた。僕たちは駄目なんだ、このままじゃ。
「行こう」
僕も立ち上がった。妻もゆっくり、腰を上げた。ペンギンが両手を大きく広げた。