「それで、本題に戻ります」
ペンギンが言った。ここではすっかり、彼女が主導権を握っていた。ちらりと窓の外を見ると、少し暮れなずみ始めていた。僕がやるよりも先に、妻が立ち上がり室内の明かりを点けた。部屋が一気に明るくなり、僕は一息つくためにコーヒーを口にした。
「あなたたち夫婦は愛し合っていますか？」
一度聞いた台詞だ。これが本題だったのか。
「何故なの？」
聞いたのは妻だった。
「何故と言われても…先程話した通り、あなたたちにはこの仕事を始めるまでの記憶がない。あなたたちが結婚したのは」
「もういい」
僕の声だ。ペンギンが言いたいことは大体判った。でも誰が？　何の為に？