それは歌だった。雨の隙間を縫うようにして、僕の耳へと届く。
僕は目を閉じ、聴覚に全神経を傾ける。
「何してるの? 最後のおまじない?」
彼女たちには聞こえていないようだ。そんなことはどうでもいい! この音は……メロディは……。
僕の歌だ!
女の人の声で唄われているけれど、それは間違いなく僕の歌。
歌……歌……。

思い出した!