「そして谷口祐希くん、あなたもその選ばれた人間なの。あなたにも特殊な能力がある。そうでしょう?」
だから……何なんだ。段々と、震えは大きくなっていった。だけど僕は最後の希望、真鈴の手だけは離さなかった。こんな最悪な状況でも、その感触は僅かな希望を与えてくれる。
「諦めが悪いわね、あなたも。結論から言わせてもらうと、私はあなたのその能力を奪いに来たのよ。それともうひとつ」
雨の音が耳に痛い。
「あなたに絶望を与えましょうか?」
貴田先生はニヤリと笑ってみせた。