「真鈴!?」
僕は叫んだ。真鈴の声は僕に深い安心感を与えてくれる。こんな最低な状況でも、希望を与えてくれる。
「祐希くん」
真鈴が僕の前に現れる。本当は今すぐにでも抱きしめたい。でもとにかく、今はここを抜け出さなくては。
「真鈴、大丈夫?」
小さなその体は僕と同じく、雨でずぶ濡れだった。
「私は大丈夫。それより……もうここから抜け出せないみたい」
やっぱりそうなんだ。じゃあ僕らは……この遊園地でいつまでも鬼ごっこをしなくちゃいけないのか。
「祐希くん」
真鈴が僕の後ろを見つめて呟く。
「もう無理みたい」
振り向くと、すぐそこに貴田先生が立っていた。