見える。ほんの少しだけれど、僕の行く道が見える。盲目にはなってないようだった。でも安心している場合じゃない。とにかく走るんだ! 走れるところまで。
激しい雨が僕を打ち付ける。痛いほどの雨粒。微かな視界を頼りに、僕はあてもなく走り続ける。幸い、追跡者は近くまでは来ていない。だけど……。
「やっぱり、おかしい」
僕は立ち止まった。入って来た場所が見付からない。というよりも、遊園地の突き当たりが一切無くなっている。最初に歩き回った時より、何倍も大きくなったような感覚だ。これじゃ、この遊園地からは抜け出せない。
「気付いた?」
女の声がした。
「もう君は逃げられないの」