これは……もしかして……。
その近くで赤く光っている札には、『父親死去』と書かれていた。やっぱりそうだ。その瞬間、僕は記憶の断片を取り返し始めた。
真鈴が言うには、僕には特殊な能力がある。いや、正確にはいずれそんな能力が身につく。そしてそれは、記憶を操ると。……ならば、僕が今この白い紙を、僕の記憶のひとつひとつを手にとり、破ったり破棄すればその記憶は無くなるのだろうか? いや……そうじゃないはずだ。
当然、今までにこんな技術があったわけじゃなく、使い方なんて知るはずもないけれど、僕の中のどこか遠くの記憶が、その使い方を示唆してくれている気がした。
そうだ! 記憶の交換!