「愛花」


「話してくれて、ありがと。先生のこと、わかってよかった」


ひと息ついて、愛花はこう続けた。


「先生、忘れなくていいよ」


「えっ?」


「大切な人のこと忘れるなんて、そんなのダメだよ」


「愛花……」


「いつか明里さんのことが、先生にとって思い出になれるように。それまで、無理して忘れることないよ」


愛花は、俺ににっこり笑った。


「写真もストラップも、手紙も。全部持ってていい。捨てることない」


「…………」


「それでも先生は、私のこと好きなんでしょ?」


「ああ」


「先生の心の中で、私は何%? まだ明里さんの方が、心を占める割合、大きい?」


「そんなことない。まだ明里は俺の中にいるけど、でも愛花の方が大きい」