「み、美波ちゃんのお兄さん!??」
『おう』
「そうだったんだ…」
『いつも妹と仲良くしてくれてありがとな』
私の弟は双子で
兄が冬樹。弟が春樹
いつも弟たちの会話を聞いていると
必ず出てくる「美波ちゃん」
この子が赤沢君の妹だ
「いやいや…
こちらこそありがとう」
『どーいたしまして』
赤沢君って割りと話しやすい人なのかも…
そう思いふと隣にいる
横顔を見てみた
適度に伸びた髪が風に揺られる
傘を持つ手が少しきゅっと
強く握られる
何故か私の鼓動は速くなった
これは……何?
『高橋さん』
「…はい!?」
『いや、着きました』
「………あっ
えっとありがとう!!」
『もう傘平気?』
「うん!!
チビ助2人は持ってるし
幼稚園の傘借りれば平気!」
『そっか』
「うん、ありがとね」
この時の赤沢君の「そっか」が
少し寂しげに聞こえたのは
気のせいだったのかもしれない