次の日、朝食に行ったホテルのレストランで、千代子はいつもの猫の笑顔で僕を見ると、
スプーンを手に指を鳴らした。


スプーンが見る間に、ハートを形作った。


「悠くん、愛してるよぅ♪」


妻のいじらしさにくらくらしたのもつかの間、店のあちこちから悲鳴があがった。

見回すと辺りのスプーンが全てハート型になっている。


「やっちゃった」


千代子が眉間にしわを寄せた。


【END】