「あのね、実は私、超能力者なの」


突然の告白。

晴れて僕と千代子が夫婦になった日の晩。
海沿いのリゾートホテルのコテージ、天蓋つきのベッド、輝く満月、という最高の環境。

僕は、いつにも増して輝く千代子を抱きしめて、もう今考えられることは一つだけ! だったのに。


「今まで隠してたんだけど、でもこれから悠くんとずっと一緒だし、やっぱ黙っとくのマズイかなって思って、忘れそうだから今言っとくね」

「超能力? スプーンとか曲げんの?」

「そうなの。でもね、私スプーン曲げだけなの」

「スプーン曲げ、しか? 物動かしたりは?」

「ダメ。ホント、スプーン曲げだけなの。ていうか、他の事もできなくないけど、でもスグ寝込んじゃう」

「マジ?」

「そこのテーブルにスプーンあるでしょ、見てて」