「あっ、ほんとに?」

「ほんと!もう、香織ちゃんは~」


予想以上の香織の焦りっぷりがおもしろくて、声にだして笑う。

香織もそんな花音を見て、くすくすと笑った。


「あのぉ~……俺ひとりおいてきぼり?」


「あっ!ごめん、いっちゃん」

「一誠くんごめんなさいっ。はい、よかったら聞いてみて」


香織がかばんから取り出したものを覗き込むと、それは見覚えのあるCDだった。


「これ、光姫だっ」


目を輝かせて一誠と香織の顔を交互に見渡すと


「最近知って、すきになったの。そしたら一誠くんも聞いてみたい、って言ったから持ってきたのよ」

「へっ、いっちゃんが?」


―普段、音楽なんか聞かないのに……


なんて考えながら一誠の方をちらっと見ると、頬を若干赤く染めて香織を見つめていた。

んっ?もしかして……


「いっちゃん、ちょっと」


そう呼んで、隅の方まで連れてくと


「いっちゃんさ、香織ちゃんのこと好きでしょ」