ごまかそうとしても、もう遅い。

君にはバレてた―……
私のこの気持ちが。

抱いちゃいけなかった、この気持ち。

私自身もそれから目をそらしてた。

だから、この時はね?
まだ思ってもなかったよ。

私は……








「花音」


笑ってた君が急にまじめな顔になった。

私の名前を呼ぶ悲しそうなその声。

私はそれだけで、どうしようもないほどの不安に襲われる。

なにか悪いこと言っちゃったかな?
とか、
嫌われたのかな?
とか……。

一瞬、うつむきたくなるけど、君の方をみる。

すると君は寂しげな瞳に、無理矢理笑顔を作ってこう言ったんだ。


「俺なんかに惚れんなよ?」


ただ、心のどこかでなにかが崩れる音がした。