―幽霊でも寝ることってあるんだよなぁ。


自分のことなのに、他人事のように思いながら閉じていた目を開ける。

ふわふわと宙に浮いているような妙な感覚、が身体にまとわりつくように存在していた。

いや、実際浮いてんだけどね。


「んー、よく寝た~」


大きくのびをして、ふぅと一息ついて


「今何時くらいなんだろ……」


誰かに尋ねるつもりもなく、ぽつりと呟いた。

まぁ、そもそも自分みたいな存在には
時間なんか関係がないに等しいもんなのだけど。

百年単位でさまよってる幽霊だっているんだから。


「来るかな、あいつ……」


自然とその言葉が漏れて、そんな自分に少しびっくりした。






自分には“生きてた頃の記憶”と言えるものがない。

気づいたら一人だった。

仲間と呼べる者たちはあちこちにいるけど、どいつとも仲良くなろうとは思えなかった。

なんか、そおゆうの……正直めんどくさかったから。

まだ死を受け止められてない奴らがいる中で、自分は結構物わかりがよかったと思う。