「いってきまーす」

「いってらっしゃい。バイト、がんばりなさいね」

「はーい」


あの後、由紀恵の態度はやはりどこかおかしいままで、はるかくんのこともわからないまま。

少し居づらさを感じたので、予定よりも二時間前に出た。


「今日はだいぶ過ごしやすいや」


嫌いな太陽は、今日は厚い雲に隠れて姿は見えない。

そのおかげで昨日よりは幾分も楽だった。


「どこで暇つぶししようかなぁ……」


宛てなんかあるわけではなかったけど、独り言のように呟く。


―昨日は何したっけ……?


「あっ」


なんで忘れてたんだろ?

遥のところに行こう。

約束も……一応したし。


[また明日!俺、ここにいるからさっ!]


その言葉を思い出して、口元がちょっと緩む。

自然と向かう足が軽かった。

遥がいる川原までは、そんなに遠くない。