サイモンのリハビリは過酷なものだった。

まず曲がった膝を伸ばすことから始めなければならなかった。

たったそれだけのことだが、相当な激痛を伴いサイモンは目に涙を溜め、うめき声を上げながら行った。

何日もそれだけを繰り返し、ようやくできるようになるとやっと立ち上がり歩行訓練を始めた。

しかし当然すぐに歩けるわけなどなく、身体を支えてもらい一歩踏み出すだけでも汗が噴き出すほどの苦労だった。

怪我する前はピッチを縦横無尽に走り回っていた彼が、今は来る日も来る日もこの地道な作業を繰り返した。


すべてはもう一度ピッチに戻るために、そして代表入りするために。