手術は一応成功したが、医師はサイモンが再びピッチに戻れるかどうかは分からないと語った。

手術から二日後、僕はサイモンの病室を訪れた。

ベッドに横たわる彼を見て、正直僕は何を語りかければいいのかわからなかった。

わずか数秒が永遠にも感じられる重い沈黙に病室が包まれた。

それを破ったのは以外にもサイモンの笑顔だった。


「皮肉なものだろ。きっと今シーズンの俺は最高の時を迎えられると思っていたんだ。それがこのざまさ」
 
僕は黙って軽く二度頷いた。


「でもな」とサイモンは続けた。「俺はまだ諦めたわけじゃないんだ。そりゃ、怪我したのはショックだけど仕方ないさ。また治せばいいんだ。あのプレイに関しては後悔なんかしていない。しているとすれば得点できなかったことだけだ」
 
僕は大きく頷いた。


「そうか。元気そうで安心したよ」


「俺が毎日泣きじゃくっているとでも思ったかい?」
 
サイモンはそう言って笑った。

僕も一緒に笑った。

きっと僕には計り知れないほどのショックを受けたに違いないだろうが、彼の心が折れていないことが分かり本当に良かったと思った。


「必ず復帰してやるよ、必ず」
 
サイモンは力強く言った。