―ガラ
重い扉を開ける。
教室に入った途端、痛いくらいの視線が俺に集まった。

「あ、あっちゃんおはよー」
「おはよっ」
「今日は早いねえー」


俺にはたくさんの言葉がかかるけど、



平澤には――



―ガラッ



一斉に扉に視線が集まる。

「…平澤だ」

誰かがそう呟いたあとは、


沈黙、

沈黙、

沈黙。


誰も言葉を発さない。




ただ、人形のように、

一点を――平澤を見続けるだけだ。