結局俺は放課後まで爆睡していた。
春とはいえこの時間帯になると少し肌寒く、西日が眩しいので、開いたままの窓を閉めきった。
「かえろ……」
何気なく鞄を持ち上げて教室をでようとした……
「あれ、俺いつ教科書とか鞄にしまったっけ?」
とうとう老化がはじまたか……
まぁそんなことどうでもいいか、きっと俺がしまったんだろう。
適当に結論づけて、そそくさに校舎からでていった。
俺の下校ルートにはまだ部活帰りらしき生徒がウヨウヨとしてだべっていた。
そんな中、明らかに近代人とは掛け離れた姿勢で歩くやつががいた。
「あ、アウストラルロピテクス」
「だれがそんな人類の祖先的な名前なんですか! 絶対僕のこといったでしょ!!」
「なんだ太田か」
「本気で落ち込むなよ」
まったくノーベル賞ものの発見だと思ったのに
そういえば、太田もたしか部活にはいってたよな……
「変態部だっけ?」
「そう、女子更衣室にヒッソリコッソリと忍び……………って、だれがやねん!!」
綺麗な関西弁だったな。
「なかなかいいノリツッコミだったぜ、漫才部さん」
「それもちがうよ、サッカー部だよサッカー…………って人の話きけ!!」
アイツとの話も飽きたので置いて帰ろうとする俺がいた。
「で、なんであんな人類を退化させたような歩き方をしていた? 失恋か?」
「グサッ……お前ってかなり鋭いよな」
図星かよ、呆れた。
「青春してんのなお前」
「あんたは失恋してんのにヒドイ野郎だよ」
確かに酷い野郎だ、ただ毎日を普通に過ごして
部活もしない勉強もしない恋愛も面倒……
俺ってなんで生きてんだ?