授業終了のチャイムが眠気をいったん遠ざける。
そして気持ちいいあくびを誘う……


「ふぁ〜……んがっ!?」


大きく開いてるハズの口が固いものでいっぱいになっている……
俺の教科書?


「さっきはよくも騙してくれたわね」

「んがぁががっ! ん?!」


歩……ダメだ! 口が裂けちまう。ヤメンカー


「ぶはっ」

「美味しかった? ゆうちゃん」

「お……お粗末様でした」

返答がさらに不満だったようで、不機嫌(そもそも不機嫌だが)そうに腕を組んだ。

「ふん、まあいいわ」


歩は教室からでていった。レストルームであろうか、トイレ? なんて聞いたら後ろの窓の外まで吹っ飛ばされていただろう。

ここ3階だぜ。死んでたな……


「よう、あゆみん夫!」


クラスメートの太田が皮肉たっぷりなあだ名で近寄ってくる。
“あゆみん”は歩のことで親しいやつはたいていそう呼ぶ。


「今日も仲いいのな、最近は夜のお付き合いも激しいんだって?」

「夜までアイツの顔見るなんて、ゾッとするわ」

「いやん照れちゃって、だれがみてもお似合いなのにな」

「アイツが可愛いのは認めるよ、でもアイツ俺のこと嫌いなんじゃね?」


いつもアイツからちょっかいかけてくるしな


「ゆうってやっぱにぶちんかな?」

「うるせっ」


気づいてるけど、勘違いだったら俺もうアイツと喋れなくなる。

それは嫌だ。


だって……



「はい思考停止。 睡眠開始〜」

「ふー、呆れられないうちに男見せなよ」

「…………」


次は英語か、ねよ。