「ふぁ〜」


この御原(みはら)高校に入学して、もう一週間になった。
1番後ろで窓際というベストなポジションをいいことに、ぼぉっとする俺。


「なぁーに気のぬけたあくびしてんのよ、バカゆう」

「……うるせっ」


コイツは同級生の桜川歩(さくらかわあゆみ)
コイツはやたらと俺に……っと、俺の自己紹介がまだだったな。

俺は、桜井優(さくらいゆう)
苗字に“桜”がかぶってるから、桜夫婦なんてよくひやかされる。


「ちゃんと授業うけなさいよ」

「だからうるせぇって」

「人が親切に言ってるんだから素直にききなさいよ」

「へいへ〜い」


なんでコイツはこんなにお節介なんだ? 顔は可愛いくせに残念なやつだ。


「なによ、顔になんかついてる?」

「……デカイかまきり」

「へっ?!」

「おっ、動いた」

「ちょっと、とってよぉ! はやく!!はやく!!!」


やば、コイツ本気でビビってデカイ声だしやがった。おわった。まぁ自業自得なんだが……


「なぁーにイチャついてんだ桜夫婦!!!」


せん公までそんな呼び方すんなよ


「だって先生、かまきりが!かまきりがぁ〜」

「かまきり? どこにそんなもんがいる」

「へっ?」


俺の悪事もここまでのようだな……