「『腹違いの』妹です」
沈黙がまた沈黙をよぶ……
「てか、妹じゃんお兄さん!!」
俺は人間じゃないものを弟にした記憶はない。
――それより、一番驚いてるのは俺のほうなんだ。なぜ、実がここにいるんだ?
アイツは父の愛人との子で、さらに言うとアメリカ人とのハーフである。もちろん母親があちらの人で、お国でのんのんと暮らしているはずなのだ。
「やっと気づいたね、お兄ちゃん!」
俺が気づくまで黙っているつもりだったらしい。そして、「お兄ちゃん!」という言葉と同時に俺の方へ駆け出してハグを強制的にされた。
さすが本場の育ちだ。ボディーランゲージが挨拶の基本らしい。
「ボク、お兄ちゃんに会いたかったよ〜」
この『僕っ子』は皆無に等しい胸を俺の腕に擦り寄せ、俺の膝の上で猫のように丸まりニャンニャンいっている。
「暑い。離れろ」
「えーーっ、せっかく会えたのに!」
コイツはどうやら忘れているらしい。
「一応、授業中だ」
「ふぇ………!?」
どうやら理解したらしい。
クラス中のセクシャルハラスメントな視線と、ビデオカメラを持ってにやけている変態女教師の存在を。極めつけは、爆発寸前の学級委員長様の恐ろしい笑顔。
「うっ………I'm sorry?」
実に続けて起死回生の笑いを狙ってみる。
「あ〜………ヒゲそぉり?」
地雷を踏んだ。
「桜兄妹!!!!!!!!!!!!」